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| ● | 猪子寿之 氏(チームラボ株式会社 代表取締役) 止めど無く開発するWeb2.0プラットフォームを一緒にマッシュアップしよう! |
| ● | 川井拓也 氏(ヒマナイヌ 代表取締役/デジタルハリウッド大学教授) |
| ● | 猪川知紀 氏(ヒマナイヌ 代表取締役/クリエイティブクラスター理事) マッシュアップから生み出すITプロダクト・僕らの目線の気持ちいいコンテンツ |
【ワークショップモデレーター】
| ● | 岡田智博氏(Y INNOVATION CENTERディレクター/横浜知財・ITクラスター形成・支援事業 クラスターマネージャー) |
この日のワークショップは終始リラックスした雰囲気の中、猪子氏によるWeb2.0型プラットフォームの開発秘話や実演、川井、猪川両氏によるハイテクとローテクをかけあわせた商品開発や企画の裏話など、最先端情報満載の話題で盛り上がりました。
まず岡田氏が、「チームラボのプラットフォームとヒマナイヌのアイデアをマッシュアップして、新しいものをつくってほしい」と口火を切り、ヒマナイヌ川井氏から話をスタート。同社が開発した、一度に両側が撮影可能なデジカメ「Howdy?」が紹介されました。
Y INNOVATION2007展覧会にも出展されたこの製品は、一見するとB5サイズほどのアルミ製額縁、しかも額縁の中が抜けています。川井氏が「Howdy?」を手に使い方を披露。フレームを介して、人と人とが向かい合い、会話をしたり見つめ合ったままで撮影ができる、また撮りたいものを撮りながら撮った瞬間の自分の表情も記録できる、という機能を説明しました。レンズを向けられると緊張する人が多いことから、自然な表情が撮れるようにというアイデアから生まれたといいます。CM、映像、番組、データ放送など、一貫してビジュアルやライブなコミュニケーションの分野に携わってきた人ならではの鋭い視点と発想が、このカメラには隠されていました。現在、「Howdy?」とWebサービスを連動させる仕組みを考案中とのこと。
つづいて岡田氏がヒマナイヌ猪川氏を紹介。デジタルビデオコンテンツのディレクションなどを経て、雑誌編集、著述、ラジオ等の番組構成など、さまざまなジャンルを行き交いながら世の中を編集する人物と評し、氏が始めたギャラリーカフェバー「縁縁」がSNSの原点であることを披露しました。Web2.0の代表ともいえるmixiは、この場でつくられたリアルなコミュニティから発展し日本型SNSというビジネスモデルを構築したのです。
これを受け猪川氏がヒマナイヌのウェブサイトを見せながら、その活動を紹介。「われわれは興味があることを企画にして売り込むのは得意ですが、テクノロジーの部分が弱い」ので、アイデアをかたちにできるエンジニアとの協力体制も必要だと語りました。それでもヒマナイヌが軸足を置くのはあくまでもリアルワールド。「リアルの世界で見せる人間の“予想外”がうれしい」と川井氏。「現実にあるワクワク感をもっと掘り起こせそう」と結んだ。
じつは、「Howdy?」が紹介されたとき、会場で真っ先に興味を示したのは猪子氏でした。「Howdy?」を手に取り、「このカメラは撮りたいものがそのまま見えるのがいいですね。ワクワクする。いままで実物とレンズ越しに見る被写体にズレがあって嫌でしょうがなかった」とコメント。愉快そうにそう語る言葉の中に、対象を観察する非凡な眼力と洞察力、独特の美意識をうかがわせました。
猪子氏の専門は応用物理学と情報学。大学院ではアートも研究対象にしていたといいます。日本で最もWeb2.0的クリエイティブな開発力をもつとされるチームラボ、そのプラットフォームが旧来の開発系のイメージを超越しポップな印象を与えるのは、猪子氏自身のバックボーンとビット世代(※)のチーム力があるからでしょう。
チームラボの事例として紹介されたのは、純国産サーチエンジン「SAGOOL(サグール)」、楽曲配信コミュニティーサイト「WACCA(ワッカ)」、Y INNOVATION2007の展覧会に出展した最新代表作「花紅 ハナハクレナイ Flower are Crimson」、江戸時代の奇才絵師・伊藤若冲の作品を最新のテクノロジーと融合させた「若冲幻想」など。特に純国産サーチエンジン「SAGOOL」は、今や世界を席巻する勢いの「Google」へのアンチテーゼを含むといいます。検索エンジンが生み出すランキング文化、その基準は英語圏の価値基準であり、ひいてはキリスト教の精神文化に根ざすものだと。日本の若い人たちが「Google」というフィルターを通した世界を見て育てば、欧米型の価値基準に影響を受け日本型の価値基準を失ってしまうことを危惧しているとのこと。そのため「SAGOOL」で日本人が面白いと思う基準を提案していきたいと語りました。
ヒマナイヌとチームラボがそれぞれの活動を紹介するあいだ、パネラーや岡田氏も思い思いに発言し、話題はどんどん発展していきました。セッションの中で岡田氏は、「人と人とのつながりを用意すればほぼ何でもできる」と、これからの時代を表現しました。リアルであれ、バーチャルであれ、人と人が出会いつながって何かを始めるために、まず何が必要かといえば「場」であり「場づくり」。
この日のワークショップの場そのものも稀有な機会。Y INNOVATIONが起こすムーブメントのひとつの成果といえるかもしれません。また、今回登場したY INNOVATION2007のさまざまなスピーカーの方々もまた、新しい出会いための「場づくり」の大切さを実感し、時代に先駆け実践する役割を果たしているのでしょう。Y INNOVATIONも横浜においてその役割を担いながら、2007年のテーマであるITデザイン家電の発売に向けて、いっそうの挑戦をつづけていくことになります。どうぞご期待ください。